長かった夏休みが終わり、今日から学校が始まります。
「ちゃんと起きられるかな?」
「学校に行けるかな?」
「久しぶりの学校で、疲れてしまわないかな?」
お子さんのことが心配になっているお父さん、お母さんも多いのではないでしょうか。
夏休みの間は、自分のペースで過ごせていた子どもも、今日から急に学校生活へ戻ります。
朝起きる時間。
学校までの移動。
友達との関わり。
授業。
給食。
集団生活。
大人から見ると「いつもの学校生活」でも、子どもの身体と心にとっては、意外と大きな変化です。
今日は、夏休み明けの子どもの心理と身体の変化、親としての接し方、そして鍼灸師の視点からできる簡単なケアについてお話しします。
「学校に行きたくない」は、甘えとは限りません
夏休みの終わり頃になると、
「学校行きたくない」
「明日から嫌だな」
「お腹が痛い」
「眠れない」
という子どもが出てくることがあります。
そんなとき、親としては、
「みんな学校に行くんだから」
「とりあえず行ってみよう」
「行けば楽しくなるよ」
と言いたくなるかもしれません。
もちろん、学校へ戻ることを応援する気持ちは大切です。
でも、その前に一度、
「この子は今、何を感じているんだろう?」
と考えてみてください。
子どもは、大人のように「学校が始まることに不安を感じています」と上手に言葉にできないことがあります。
その代わりに、
「お腹が痛い」
「頭が痛い」
「眠れない」
「イライラする」
「朝起きられない」
という身体の変化として表れることがあります。
夏休みから学校へ。身体にとっては「環境の変化」
夏休みと学校生活では、生活リズムが大きく違います。
夏休みは、
「今日は何時に起きてもいい」
「好きなことをして過ごせる」
という時間が多かったかもしれません。
それが今日から、
「○時に起きる」
「遅刻しないようにする」
「先生の話を聞く」
「友達と過ごす」
という生活になります。
この切り替えに、心だけでなく身体も対応していかなければなりません。
そのため、夏休み明けに少し調子を崩すこと自体は、決して珍しいことではありません。
ポリヴェーガル理論から見る「安心」と「緊張」
ここで、最近注目されることのあるポリヴェーガル理論について少し触れてみます。
ポリヴェーガル理論は、自律神経系と「安全・危険を感じる状態」などの関係について考える理論です。
この理論を子どもの状態を見る一つの視点として考えると、
「この子は今、安心できているのかな?」
ということが大切になります。
学校が嫌いというわけではなくても、
「久しぶりだから緊張する」
「友達にどう思われるか心配」
「勉強についていけるかな」
「先生に何か言われないかな」
など、子どもの中ではさまざまな不安が動いているかもしれません。
すると、身体が緊張したり、眠りにくくなったり、朝に身体が重く感じたりすることがあります。
ただし、ポリヴェーガル理論だけですべての子どもの心理や身体状態を説明できるわけではありません。
ここでは、「子どもの行動だけを見るのではなく、その背景にある心身の状態にも目を向けてみる」ための一つの考え方として紹介しています。
今日、親ができること
では、今日から学校が始まる日に、親はどんなふうに接したらいいのでしょうか。
①「頑張って!」より「行ってらっしゃい」
もちろん、
「頑張ってね!」
という言葉は悪いものではありません。
でも、すでに頑張っている子どもにとっては、さらにプレッシャーになる場合があります。
そんなときは、
「行ってらっしゃい」
「帰ってきたら話聞くよ」
「今日は無理しすぎなくていいからね」
くらいの言葉でも十分です。
② 帰宅後に質問攻めにしない
学校から帰ってきたら、
「どうだった?」
「何したの?」
「友達と遊んだ?」
「先生は?」
と、たくさん聞きたくなるのが親心です。
でも、子どもも一日頑張ってきています。
まずは、
「おかえり」
「疲れたね」
と受け止めてあげる。
話したくなったら、子どもの方から話してくれるかもしれません。
③ 「学校に行けた・行けない」だけで評価しない
今日学校へ行けたら、それはもちろん一つのステップです。
でも、行けなかったからといって、それだけで「ダメ」ということではありません。
「今日は身体がつらかったんだね」
「何が一番つらかった?」
と、一緒に原因を探していくことも大切です。
鍼灸師が考える、子どもの身体のケア
アスター治療院では、子どもの身体を見るときにも、
「身体に力が入りっぱなしになっていないか」
「呼吸が浅くなっていないか」
「首や肩が緊張していないか」
「睡眠は取れているか」
などを確認します。
心の緊張は、身体にも表れることがあります。
そこで、鍼灸では身体の状態を確認しながら、年齢や体格に合わせて刺激量を調整します。
親子でできる「ツボ」ケア
ここからは、ご家庭でもできる簡単なツボをご紹介します。
ただし、小さなお子さんの場合は強く押さないことが大切です。
「痛いほど効く」というものではありません。
気持ちいい程度に、やさしく触れるくらいで十分です。
合谷(ごうこく)
手の甲にある代表的なツボです。
親指と人差し指の骨が交わるあたりにあります。
緊張しているときに、親指でゆっくり触れてあげる程度で構いません。
「今日学校どうだった?」と聞く代わりに、
「手、ちょっとマッサージしてあげようか」
くらいの感覚で行うのもよいでしょう。
内関(ないかん)
手首の手のひら側にあるツボです。
手首の横じわから指3本分ほど肘側へ上がったところを目安にします。
ここも強く押す必要はありません。
親指でゆっくり触れながら、子どもと一緒にゆっくり呼吸してみるのもおすすめです。
百会(ひゃくえ)
頭のてっぺんにあるツボです。
左右の耳を結んだ線と、頭のてっぺんの中央付近を目安にします。
お子さんの場合は、強く押すのではなく、指先でそっと触れる程度にしてください。
「ここ気持ちいい?」
と聞きながら、親子のスキンシップの一つとして行うくらいで十分です。
「ツボを押せば学校に行ける」ではありません
ここは大切なところです。
ツボを押したからといって、学校への不安や悩みがなくなるわけではありません。
大切なのは、
身体に触れてもらうことで安心できる時間をつくること。
そして、
「あなたのことを見ているよ」
「つらかったら話していいよ」
というメッセージを伝えることです。
ツボ押しそのものよりも、親子でゆっくり過ごす時間に意味がある場合もあります。
アスター治療院での子どもの鍼灸
アスター治療院では、お子さんの年齢や体格、その日の状態を考慮しながら、無理のない施術を心がけています。
「学校に行けるようにする」ことだけを目的にするのではなく、
- 睡眠が気になる
- 朝起きるのがつらい
- 身体が緊張している
- 頭痛や腹部の不調が気になる
- 学校が始まると身体の調子を崩しやすい
など、子どもが抱えている身体の状態に目を向けます。
鍼灸を受けることに不安がある場合は、まずご相談だけでも構いません。
今日から学校が始まるお父さん、お母さんへ
今日、元気に「行ってきます」と学校へ行く子もいるでしょう。
なかなか布団から出られない子もいるでしょう。
「学校に行きたくない」と言う子もいるかもしれません。
どの子にも、それぞれの理由があります。
だからこそ、
「行けたか、行けなかったか」だけではなく、そこに至るまでの子どもの心と身体を見てあげること。
それが大切なのだと思います。
夏休み明けは、子どもにとっても、親にとっても少し大変な時期です。
焦らず、比べず、
「今日のこの子は、どんな状態かな?」
と見てあげてください。
もし、
「学校が始まってから身体の不調が続いている」
「朝になると身体が動かない」
「眠れない日が続いている」
「子どもの様子が以前と明らかに違う」
という場合には、学校や医療機関などにも相談しながら、お子さんに合ったサポートを考えていきましょう。
そのうえで、身体からのケアの一つとして鍼灸を取り入れてみることも選択肢の一つです。
アスター治療院では、お子さんと保護者の方のお話を伺いながら、無理のない方法を一緒に考えています。
「鍼灸を受けた方がいいのかな?」
「うちの子にもできるのかな?」
という段階でも大丈夫です。
まずはお気軽にご相談ください。
※本記事は、ポリヴェーガル理論によってお子さんの状態を診断・説明するものではありません。また、ツボ刺激はセルフケアの一例です。強い痛み、長引く身体症状、食事や睡眠の大きな変化、強い不安や抑うつなどがある場合は、鍼灸だけで対応せず、医療機関や学校などの専門機関への相談をご検討ください。

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